山川 信一

古典

《さりげなさ》

題しらす つらゆき しのふれとこひしきときはあしひきのやまよりつきのいててこそくれ (633) 忍ぶれど恋しき時はあしびきの山より月の出でてこそくれ 「題知らず 貫之 忍んでも恋しい時は山から月が出て来るけれど・・・。」 「(忍ぶれ)ど」は...
古典

《恋の障害》

ひむかしの五条わたりに人をしりおきてまかりかよひけり、しのひなる所なりけれはかとよりしもえいらてかきのくつれよりかよひけるを、たひかさなりけれはあるしききつけてかのみちに夜ことに人をふせてまもらすれは、いきけれとえあはてのみかへりてよみてや...
古典

《悟りの境地》

題しらす よみ人しらす こりすまにまたもなきなはたちぬへしひとにくからぬよにしすまへは (631) 懲りずまに又も無き名は立ちぬべし人憎からぬ世にし住まへば 「題知らず 詠み人知らず 性懲りもなくまたも無き名が立ってしまったようだ。人が憎く...