山川 信一

古典

《男の言い訳》

題しらす よみ人しらす おもへともひとめつつみのたかけれはかはとみなからえこそわたらね (659) 思へども人目堤の高ければかはと見ながらえこそ渡らね 「題しらす よみ人しらす 思っても人目の堤が高いので、川と見ながら越え渡ることができない...
古典

《夢より現実》

題しらす こまち ゆめちにはあしもやすめすかよへともうつつにひとめみしことはあらす (658) 夢路には脚も休めず通へども現にひと目見しごとはあらず 「題知らず 小町 夢路には脚も休めず通うけれど現実に一度でも逢うほどではない。」 「(休め...
古典

《女の強さ》

題しらす こまち かきりなきおもひのままによるもこむゆめちをさへにひとはとかめし (657) 限無き思ひのままに夜も来む夢路をさへに人は咎めじ 「題知らず 小町 限り無い思いのままに夜も来よう。夢路までも人は咎めまい。」 「(来)む」は、意...