山川 信一

古典

《無常の例外》

寛平御時きさいの宮の歌合のうた よみ人しらす おもふてふことのはのみやあきをへていろもかはらぬものにはあるらむ (688) 思ふてふ言の葉のみや秋を経て色も変はらぬものにはあるらむ 「寛平御時の后の宮の歌合の歌  詠み人知らず 思うという言...
古典

《不変の心》

題しらす よみ人しらす あすかかはふちはせになるよなりともおもひそめてむひとはわすれし (687) 明日香川淵は瀬になる世なりとも思ひそめてむ人は忘れじ 「題知らず 詠み人知らず 明日香川が明日には淵が瀬となる世であっても、思いそめてしまう...
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《夏草のように》

題しらす 凡河内みつね かれはてむのちをはしらてなつくさのふかくもひとのおもほゆるかな (686) かれ果てむ後をば知らで夏草の深くも人の思ほゆるかな 「題知らず 凡河内躬恒 離れてしまうかもしれない後を思わず、夏草のように深く人が思われる...