山川 信一

古典

第百六十一段  俗説の当ての無さ

花のさかりは、冬至より百五十日とも、時正の後、七日ともいへど、立春より七十五日、おほやうたがはず。 時正:(じしょう)昼夜の長さが等しいという意。春分と秋分の日。 「花の盛りは、冬至から百五十日とも、春分の後、七日とも言うけれど、立春から七...
古典

《人恋しき季節》

題しらす よみ人しらす あきかせのふきにしひよりひさかたのあまのかはらにたたぬひはなし (173) 秋風の吹きにし日より久方の天の河原に立たぬ日は無し 「秋風が吹いた日から天の河原に立たない日は無い。」 「吹きにし」の「に」は、始まりを表す...
古典

第百六十段  言葉遣いの基準

門に額かくるを、「うつ」といふはよからぬにや。勘解由小路の二品禅門は、「額かくる」とのたまひき。「見物の桟敷うつ」もよからぬにや。「平張うつ」などは常の事なり。「桟敷構ふる」などいふべし。「護摩たく」といふも、わろし。「修する」、「護摩する...