山川 信一

古典

第二百五段  起請文の是非

比叡山に、大師勧請の起請といふ事は、慈恵僧正書き始め給ひけるなり。起請文といふ事、法曹にはその沙汰なし。いにしへの聖代、すべて起請文につきておこなはるる政はなきを、近代、この事流布したるなり。又、法令には、水火に穢れをたてず。入物には穢れあ...
古典

《秋の連想》

これさたのみこの家の歌合によめる 藤原としゆきの朝臣 あきはきのはなさきにけりたかさこのをのへのしかはいまやなくらむ (218) 秋萩の花咲きにけり高砂の尾の上の鹿は今や鳴くらむ 高砂:兵庫県高砂市付近の地名。 「是貞親王の家の歌合わせの歌...
古典

第二百四段  鞭打ちの作法

犯人(ぼんにん)を笞(しもと)にて打つ時は、拷器に寄せて結ひつくるなり。拷器の様も、寄する作法も、今はわきまへ知れる人なしとぞ。 拷器:拷問に用いる道具。 「罪人を鞭で打つ時は、拷器に罪人を引き寄せて、それに縛り付けるのである。拷器の形も、...