山川 信一

古典

《儚き万人の美》

題しらす よみ人しらす をりてみはおちそしぬへきあきはきのえたもたわわにおけるしらつゆ (223) 折りて見ば落ちぞしぬべき秋萩の枝もたわわに置ける白露 「折り取って見るなら落ちてしまうに違いない。秋萩の枝もたわわに置いている白露は。」 「...
古典

第二百九段  悪事への抵抗

人の、田を論ずるもの、訴へに負けて、ねたさに、「その田を刈りて取れ」とて、人をつかはしけるに、先づ、道すがらの田をさへ刈りもて行くを、「これは論じ給ふ所にあらず。いかにかくは」と言ひければ、刈るものども、「その所とても、刈るべき理なけれども...
古典

《萩の露の美しさ》

題しらす  よみ人しらす/ある人のいはく、この歌はならのみかとの御歌なりと  はきのつゆたまにぬかむととれはけぬよしみむひとはえたなからみよ (222) 萩の露玉に抜かむと取れば消ぬよし見む人は枝ながら見よ 「題知らず 詠み人知らず/ある人...