2023-09

古典

《夏の恋》

題しらす 読人しらす なつなれはやとにふすふるかやりひのいつまてわかみしたもえにせむ (500) 夏なれば宿に燻ぶる蚊遣火のいつまで我が身下燃えをせむ 「夏なると宿にくすぶる蚊遣火のようにいつまで我が身は下燃えをするのだろうか。」 「夏なれ...
古典

《主語の反転》

題しらす 読人しらす あしひきのやまほとときすわかことやきみにこひつついねかてにする (499) あしひきの山郭公わかごとや君に恋ひつつ寝ねがてにする 「山郭公は私のように愛しい人に恋しながら寝かねているのか。」 「あしひきの」は、「山」の...
古典

《春の恋》

題しらす 読人しらす わかそののうめのほつえにうくひすのねになきぬへきこひもするかな (498) わが園の梅の上枝に鶯の音になきぬべき恋ひもするかな 「私の庭園の梅の一番上の枝で鳴く鶯のように声を立てて泣いてしまいそうな恋をすることだなあ。...