2023-07

古典

《深い事情》

さかりこけ たかむこのとしはる(高向利春) はなのいろはたたひとさかりこけれともかへすかへすそつゆはそめける (450) 花の色はただ一盛り濃けれども返す返すぞ露は染めける 「花の色はただ一時の栄えで濃いけれども、繰り返し繰り返し露は染めた...
古典

《恋心》

かはなくさ ふかやふ うはたまのゆめになにかはなくさまむうつつにたにもあかぬこころは (449) うばたまの夢に何かは慰まむ現にだにも飽かぬ心は 「夢にどうして心が和むだろうか。現実にさえも満足できない心は。」 「うばたまの」は、「夢」に掛...
古典

《秋思》

からはき よみ人しらす うつせみのからはきことにととむれとたまのゆくへをみぬそかなしき (448) 空蝉の殻は木毎に留むれど魂の行方を見ぬぞ悲しき 「蝉の抜け殻は木毎に留まるけれど、魂の行方を見ないのは悲しいなあ。」 「空蝉」は当て字。「か...