2022-10

古典

第二百二十段  黄鐘調の正統性

「何事も辺土は、賤しく、かたくななれども、天王寺の舞楽のみ、都に恥ぢず」と言へば、天王寺の伶人の申し侍りしは、「当寺の楽は、よく図を調べあはせて、ものの音のめでたくととのほり侍る事、外よりもすぐれたり。故は、太子の御時の図、今に侍るを博士と...
古典

《鹿と女郎花》

朱雀院のをみなへしあはせによみてたてまつりける みつね つまこふるしかそなくなるをみなへしおのかすむののはなとしらすや  (233) 妻恋ふる鹿ぞ鳴くなる女郎花己が住む野の花と知らずや 「朱雀院の女郎花合わせに詠んで、献上した  躬恒 妻を...
古典

第二百十九段  素人の説

四条の黄門命ぜられて言はく、「竜秋は、道にとりてはやんごとなき者なり。先日来りていはく、『短慮のいたり、きはめて荒涼の事なれども、横笛の五の穴は、聊かいぶかしき所の侍るかと、ひそかにこれを存ず。その故は、干の穴は平調、五の穴は下無調なり。そ...