2022-06

古典

第百六十七段  長所の短所

一道に携る人、あらぬ道のむしろに臨みて、「あはれ、わが道ならましかば、可くよそに見侍らじものを」と言ひ、心にも思へる事、常のことなれど、よにわろく覚ゆるなり。知らぬ道のうらやましく覚えば、「あなうらやまし。などか習はざりけん」と言ひてありな...
古典

《七夕の不満》

なぬかの日の夜よめる 凡河内みつね としことにあふとはすれとたなはたのぬるよのかすそすくなかりける (179) 年毎に逢ふとはすれど七夕の寝る夜の数ぞ少なかりける 「七日の日の夜に詠んだ  凡河内躬恒 毎年逢いはするけれど、織女の共寝をする...
古典

第百六十六段  春の日の雪仏

人間の営みあへるわざを見るに、春の日に雪仏を作りて、そのために金銀・珠玉の飾りを営み、堂を建てんとするに似たり。その構へを待ちて、よく安置してんや。人の命ありと見るほども、下より消ゆること、雪のごとくなるうちに、営み待つ事甚だ多し。 「世間...