2022-06

古典

《星から月へ》

題しらす よみ人しらす このまよりもりくるつきのかけみれはこころつくしのあきはきにけり (184) 木の間より漏り来る月の影見れば心尽くしの秋は来にけり 「木の間から漏れてくる月の光を見ると、物思いに気の尽きる秋は来てしまったことだなあ。」...
古典

第百七十一段  まずすべきこと

貝をおほふ人の、我がまへなるをばおきて、よそを見わたして、人の袖のかげ、膝の下まで目をくばる間に、前なるをば人におほはれぬ。よくおほふ人は、余所までわりなく取るとは見えずして、近きばかりおほふやうなれど、多くおほふなり。碁盤のすみに石をたて...
古典

《八日の思い》

やうかの日よめる みふのたたみね けふよりはいまこむとしのきのふをそいつしかとのみまちわたるへき (183) 今日よりは今来む年の昨日をぞいつしかとのみ待ち渡るべき 「八日の日に詠んだ  壬生忠岑 今日からは来年の昨日を早く来ればとばかり待...