2022-02

古典

第百十九段  鰹のドグマ

鎌倉の海に鰹といふ魚は、かの境にはさうなきものにて、この比もてなすものなり。それも、鎌倉の年寄りの申し侍りしは、「この魚、おのれら若かりし世までは、はかばかしき人の前へ出づる事侍らざりき。頭は下部も食はず、切りて捨て侍りしものなり」と申しき...
古典

《春への不満》

寛平御時きさいの宮の歌合のうた おきかせ こゑたえすなけやうくひすひととせにふたたひとたにくへきはるかは (131) 声絶えず鳴けや鶯一年に再びとだに来べき春かは 「寛平御時皇后温子の歌合の歌  藤原興風 声を絶やさず春の間はずっと鳴いてく...
古典

第百十八段  食材についての故実

鯉の羹(あつもの)食ひたる日は、鬢そそけずとなん。膠(にかわ)にも作るものなれば、ねばりたるものにこそ。鯉ばかりこそ、御前にても切らるる物なれば、やんごとなき魚なり。鳥には雉、さうなき物なり。雉・松茸などは、御湯殿の上にかかりたるも苦しから...