古典 第百段 久我相国を讃える 久我相国は、殿上にて水を召しけるに、主殿司、土器を奉りければ、「まがりを参らせよ」とて、まがりしてぞ召しける。 久我相国:源通光。一二四八年没。 主殿司(とのもりづかさ):後宮十二司の一つ。 土器(かはらけ):素焼きの杯。 まがり:水を飲む... 2021.12.31 古典
古典 《根源的な悲しみ》 題しらす よみ人しらす ちるはなをなにかうらみむよのなかにわかみもともにあらむものかは (112) 散る花を何か恨みむ世中に我が身も共にあらむものかは 「散る花をなんで恨もうか。世の中に私自身も同様に有るものだろうか、ありはしない。」 「恨... 2021.12.30 古典
古典 第九十九段 時の権力の及ばぬこと 堀川相国は、美男のたのしき人にて、そのこととなく過差を好み給ひけり。御子基俊卿を大理になして、庁務おこなはれけるに、庁屋の唐櫃見ぐるしとて、めでたく作り改めらるべきよし仰せられけるに、この唐櫃は、上古より伝はりて、その始めを知らず、数百年を... 2021.12.29 古典