むめの花ををりてよめる 東三条の左のおほいまうちきみ
うくひすのかさにぬふてふうめのはなをりてかささむおいかくるやと (36)
鶯の笠に縫ふてふ梅花折りて挿頭さむおい隠くるやと
てふ:と言う。
おい:「老い」と「覆い」の掛詞。
「梅の花を折って詠んだ 東三条の左大臣
鶯が笠に縫うという梅の花を折って髪飾りにしよう。老いが覆い隠れるかなと。」
鶯がせわしく花びらをつつく。それは、笠を縫うために花びらを集めているのだ。その美しい花がいっぱい着いている梅の枝を折って髪飾りにすれば、自分の年老いた醜い顔を覆い老いが隠れるのではないか。春は毎年巡ってくるが、自分は年を取るばかりである。しかし、梅の花は、その老いを覆い隠さんばかりに美しく咲いている。
梅と言えば、香りがまず注目される。しかし、それだけではない。花の美しさも格別である。何しろ、鶯は花びらで笠を編むし、私の老いも覆い隠してくれそうだから。
二つの理由を挙げて梅の花の美しさを表している。
コメント
春の訪れを一番に知らせるように咲く梅の花を香りだけでなくその姿も讃えて春を寿ぐのですね。梅の花は可憐ですが、その枝は思いのほか無骨でゴツゴツとしていて、苔の結ぶ様子も描かれたりします。確かに、一斉に花開くとその枝は隠されますね。老いを覆って隠せるかな?と朗らかに戯けて見せているようで、その場が和む様子が思い浮かびました。
確かに梅の枝は無骨ですね。どんな風に折ったら髪飾りになるのでしょうね。枝が隠れるばかりに花が着いているところでしょうか?
すいわさんがおっしゃるように「朗らかに戯けて見せ」たのでしょう。
いずれにしても、思いを伝える表現法には様々ありますね。