題しらす よみ人しらす
ももちとりさへつるはるはものことにあらたまれともわれそふりゆく (28)
百千鳥囀る春は物ごとに改まれども我ぞ旧り行く
百千鳥:数多くの小鳥。いろいろな鳥。
「沢山の、そして、様々な鳥が囀る春。春は、物がいずれもみな改まるけれど、この私は古くなっていく。」
春愁の一つを詠んでいる。多くの鳥たちが一斉に囀る春がやって来た。春は、賑やかで、生命感溢れる季節だ。すべてが新しく生まれ変わる季節なのだ。冬には死んだように思えた、すべての物の命が蘇ったような気がしてくる。しかし、だからこそ、また一つ年を取り、老いていく我が身を感ぜずにはいられない。我が生命が春に改まることはない。春は、そんな残酷な現実が胸に染みる季節でもあるのだ。
コメント
新しい命の生まれる春、その輝きが眩しいからこそ感じる憂い、なのですね。
全く違う事を思い浮かべてしまいました。ーー新学期、新入生のさざめくようなお喋り、それを迎える先生。「あぁ、今年もまた始まる、こちらは歳をとっていくばかりだ」ーーでも、生徒からすると先生ばかり変わらないでいらっしゃる、なのです。
学校って不思議なところですね。学校では、四季のように、一年また一年と同じことが繰り返されていきます。その中で生徒だけが入れ替わっていきます。
でも、それは幻想で、先生は少しずつ年老いていきます。この歌は、老教師の思いにもつながりそうです。
春が来るたびまた一つ、歳を重ねていくこと。恐ろしいですね。
美しくキラキラしたもの中に古い自分がポツンといるようで怖くなっちゃいました。
いや、そんなことはないです。
きっと自分もパワーアップしてるはず。居てもいいはずだ。
らんさんは、前向きですね。ものは考えようです。私も、らんさんのように考えて元気を出します。