2021-04

古典

春立つ日

はるたちける日よめる          紀貫之 そてひちてむすひしみつのこほれるをはるたつけふのかせやとくらむ (2) 袖漬ちてむすびし水の凍れるを春立つ今日の風やとくらむ 「春が立った日に詠んだ 夏の暑い日に袖を濡らし掬って喉を潤した水が...
古典

観念と表現

春の訪れを心待ちにするのは、昔も今も変わらない。太陰暦の頃は、立春と新年が重なっていた。ならば、その日の到来の喜びはいかばかりのものだったろう。それがこの年は、立春の方が早く来てしまった。この歌は、それに伴う例年とは違う《ある思い》を表して...
古典

『古今和歌集』巻第一 春哥上

ふるとしに春たちける日よめる         在原元方 としのうちにはるはきにけりひととせをこそとやいはむことしとやいはむ (1) 年の内に春は来にけり一年を去年とや言はぬ今年とや言はん 「年内に立春が来た日に詠んだ 年の内に春が来てしまっ...