古典

少年の論理

盗みをしたという気持ちより、自分がつぶしてしまった、美しい、珍しいちょうを見ているほうが、僕の心を苦しめた。微妙なとび色がかった羽の粉が、自分の指にくっついているのを見た。また、ばらばらになった羽がそこに転がっているのを見た。それをすっかり...
古典

不幸が起こった

すぐに僕は、このちょうをもっていることはできない、もっていてはならない、元に返して、できるなら、何事もなかったようにしておかなければならない、と悟った。そこで、人に出くわして見つかりはしないかということを極度に恐れながらも、急いで引き返し、...
古典

自分自身におびえながら

ちょうを右手に隠して、僕は階段を下りた。そのときだ。下の方からだれか僕の方に上がってくるのが聞こえた。その瞬間に、僕の良心は目覚めた。僕は突然、自分は盗みをした、下劣なやつだということを悟った。同時に、見つかりはしないか、という恐ろしい不安...