古典

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第二十四段 ~その一 単身赴任~

昔、男、かたゐなかにすみけり。男、宮仕へしにとて、別れ惜しみてゆきにけるままに、三年来ざりければ、待ちわびたりけるに、いとねむごろにいひける人に、「今宵あはむ」とちぎりたりけるに、この男来たりけり。「この戸あけたまへ」とたたきけれど、あけで...
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第二十三段 ~その三 後日談~

まれまれかの高安に来てみれば、初めこそ心にくくもつくりけれ、今はうちとけて、手づからいひがひ取りて、けこのうつはものに盛りけるを見て、心憂うがりて行かずなりにけり。さりければ、かの女、大和の方を見やりて、 君があたり見つつを居らむ生駒山雲な...
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第二十三段 ~その二 歌の力~

さて、年ごろ経るほどに、女、親なく、頼りなくなるままに、もろともにいふかひなくてあらむやはとて、河内の国高安の郡に、行き通ふ所いできにけり。さりけれど、このもとの女、悪しと思へるけしきもなくて、いだしやりければ、男、異心ありてかかるにやあら...