古典 第五十五段 ~復縁を賭ける~ 昔、男、思ひかけたる女の、え得まじうなりての世に、 思はずはありもすらめど言の葉のをりふしごとに頼まるるかな 昔、男が思いを掛けた女が、今では、手に入れることができそうにもなくなって(「え得まじうなりて」「まじ」は打消推量の助動詞。)、し... 2019.07.10 古典
古典 第五十四段 ~恋の闘い~ 昔、男、つれなかりける女にいひやりける。 ゆきやらぬ夢路を頼むたもとには天つ空なる露や置くらむ 前の段の女と同一人物かはわからないけれど、そう読んだ方が面白い。〈つれなし〉は、冷たい、薄情だということ。依然として逢うのが難しく、手こずってい... 2019.07.09 古典
古典 第五十三段 ~満たされない愛~ 昔、男、あひがたき女にあひて、物語などするほどに、とりの鳴きければ、 いかでかはとりの鳴くらむ人しれず思ふ心はまだ夜ぶかきに なかなか逢えない女にようやく逢って、話などするうちに、鶏が鳴いて帰る時間になったので、〈どうして(「いかでかは」... 2019.07.08 古典