古典

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第五十八段 出家の勧め

「道心あらば、住む所にしもよらじ。家にあり、人に交わるとも、後世を願はんに難かるべきかは」と言ふは、さらに後世知らぬ人なり。げにはこの世をはかなみ、必ず生死を出でんと思はんに、なにの興ありてか、朝夕君に仕へ、家を顧みる営みのいさましからん。...
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《皮肉に言よせて》

さくらの花のさけりけるを見にまうてきたりける人によみておくりける  みつね わかやとのはなみかてらにくるひとはちりなむのちそこひしかるへき (67) 桜の花の咲けりけるを見に詣で来たりける人に詠みて贈りける 躬恒 我が宿の花見がてらに来る人...
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第五十七段  素人が訳知り顔で語るな

人の語り出でたる歌物語の、歌のわろきこそ本意なけれ、少しその道知らん人は、いみじと思ひては語らじ。すべて、いとも知らぬ道の物語したる、かたはらいたく、聞きにくし。 本意なけれ:不本意だ。甲斐が無い。残念だ。 その道知らん人:「ん」は、未確定...