古典

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第百八段  寸暇を惜しむべし

寸陰惜しむ人なし。これよく知れるか、愚かなるか。愚かにして怠る人のために言はば、一銭軽しといへども、是をかさぬれば、貧しき人を富める人となす。されば、商人の一銭を惜しむ心、切なり。刹那覚えずといへども、これを運びてやまざれば、命を終ふる期、...
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《我が家の藤自慢》

家にふちの花のさけりけるを人のたちとまりて見けるをよめる みつね わかやとにさけるふちなみたちかへりすきかてにのみひとのみるらむ (120) 我が宿に咲ける藤波立ち帰り過ぎかてにのみ人の見るらむ 「我が家に藤の花が咲いているのを人が立ち止ま...
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第百七段   兼好の女性観

女の物言ひかけたる返事、とりあへずよきほどにする男は、ありがたきものぞとて、亀山院の御時、しれたる女房ども、若き男達の参らるる毎に、「郭公や聞き給へる」と問ひて、ここみられけるに、何がしの大納言とかやは、「数ならぬ身は、え聞き候はず」と答へ...