古典

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第百十一段   柔軟な思考

「囲碁・双六好みて明かし暮らす人は、四重・五逆にもまされる悪事とぞ思ふ」と、あるひじりの申しし事、耳にとどまりて、いみじくおぼえ侍る。 四重:(しぢゃう)仏教語。四種の大罪。邪淫戒・偸盗戒・殺生戒・妄語戒を犯すこと。 五逆:(ごぎゃく)仏教...
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《理不尽な嘆き》

題しらす よみ人しらす やまふきはあやななさきそはなみむとうゑけむきみかこよひこなくに (123) 山吹はあやなな咲きそ花見むと植ゑけむ君が今宵来なくに 「山吹は筋が立たないことだわ。どうか咲かないでほしい。花を見ようと植えたであろうあなた...
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第百十段  勝つと思えば負ける

双六の上手といひし人に、そのてだてを問ひ侍りしかば、「勝たんと打つべからず。負けじと打つべきなり。いづれの手かとく負けぬべきと案じて、その手を使はずして、一目なりともおそく負くべき手につくべし」といふ。道を知れる教、身を修め、国を保たん道も...