古典

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《雁と私》

かりのなきけるをききてよめる  みつね うきことをおもひつらねてかりかねのなきこそわたれあきのよなよな (213) 憂き事を思ひ連ねて雁金の鳴きこそ渡れ秋の夜な夜な 「雁が鳴いたのを聞いて詠んだ  凡河内躬恒 つらい事を思い連ねて、雁が鳴き...
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第百九十五段  久我内大臣の奇行

或人久我縄手を通りけるに、小袖に大口着たる人、木造りの地蔵を田の中の水におし浸して、ねんごろに洗いけり。心得難く見るほどに、狩衣の男二人三人出できて、「ここにおはしましけり」とて、この人を具して去にけり。久我内大臣殿にてぞおはしける。尋常に...
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《秋の夜の幻想》

寛平御時きさいの宮の歌合のうた  藤原菅根朝臣 あきかせにこゑをほにあけてくるふねはあまのとわたるかりにそありける (212) 秋風に声をほに上げて来る舟は天の門渡る雁にぞありける  藤原菅根朝臣 「宇多天皇の御代皇后温子様の歌合わせの歌 ...