古典 第九段 その一 昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、あづまの方にすむべき国もとめにとてゆきけり。もとより友とする人、ひとりふたりしていきけり。道しれる人もなくて、まどひいきけり。三河の国八橋といふ所にいたりぬ。そこを八橋とい... 2019.05.11 古典
古典 第八段 ~信濃国へ~ 昔、男ありけり。京やすみ憂かりけむ、あづまの方にゆきて、すみ所もとむとて、友とする人、ひとりふたりしてゆきけり。信濃の国、浅間のたけに煙の立つを見て、 信濃なるあさまのたけに立つけぶりをちこち人の見やはとがめぬ 「京やすみ憂かりけむ」は疑... 2019.05.10 古典
古典 第七段 ~センチメンタルジャーニー~ 昔、男ありけり。京にありわびてあづまにいきけるに、伊勢、尾張のあはひの海づらをゆくに、浪のいと白くたつを見て、 いとどしく過ぎゆく方の恋しきにうらやましくもかへる浪かな となむよめりける。 ここまでの段から続けて読むと、「京にありわびて... 2019.05.09 古典