古典

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第九段 その二

その沢のほとりの木のかげにおりゐて、かれいひ食ひけり。その沢にかきつばたいとおもしろく咲きたり。それを見て、ある人のいはく、「かきつばた、といふ五文字を句のかみにすゑて、旅の心をよめ」といひければ、よめる。  唐衣きつつなれにしつましあれば...
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第九段 その一

昔、男ありけり。その男、身をえうなきものに思ひなして、京にはあらじ、あづまの方にすむべき国もとめにとてゆきけり。もとより友とする人、ひとりふたりしていきけり。道しれる人もなくて、まどひいきけり。三河の国八橋といふ所にいたりぬ。そこを八橋とい...
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第八段 ~信濃国へ~

昔、男ありけり。京やすみ憂かりけむ、あづまの方にゆきて、すみ所もとむとて、友とする人、ひとりふたりしてゆきけり。信濃の国、浅間のたけに煙の立つを見て、  信濃なるあさまのたけに立つけぶりをちこち人の見やはとがめぬ 「京やすみ憂かりけむ」は疑...