古典

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第二十九段 ~女性を褒める~

昔、春宮の女御の御方の花の賀に召しあづけられたりけるに、 花にあかぬ嘆きはいつもせしかども今日の今宵に似る時はなし「春宮」は〈とうぐう〉と読み、皇太子の意。 「春宮の女御」で、皇太子の母である女御。「女御」は、〈中宮〉と〈更衣〉の間の地位の...
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第二十八段 ~女にふられる~

昔、色好みなりける女、いでていにければ、 などてかくあふごかたみになりにけむ水もらさじとむすびしものを  前段とは対照的に男がフラれる話である。「色好み」は〈恋愛の情趣をわきまえた人〉で、恋愛対象としては理想的な女性。それが男の元を出て行っ...
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第二十七段 ~たらいの水~ 

昔、男、女のもとに一夜いきて、またもいかずなりにければ、女の、手洗ふところに、貫簀をうちやりて、たらひのかげに見えけるを、みづから、 わればかりもの思ふ人はまたもあらじと思へば水の下にもありけりとよむを、来ざりける男、たち聞きて、 みなくち...