古典

古典

第三十八段 ~友~

昔、紀の有常がりいきたるに、歩きて遅く来けるに、よみてやりける。 君により思ひ習ひぬ世の中の人はこれをや恋といふらむ返し、 ならはねば世の人ごとになにをかも恋とはいふと問ひしわれしも  主語が省略されているけれど、当然「男」が主語である。「...
古典

第三十七段 ~浮気への不安~

昔、男、色好みなりける女にあへりけり。うしろめたくや思ひけむ、 われならで下紐解くなあさがほの夕影またぬ花にはありとも返し、 ふたりして結びし紐をひとりしてあひ見るまでは解かじとぞ思ふ 「色好み」は、〈恋愛の情趣を解する・洗練された恋愛をす...
古典

第三十六段 ~抗議~

昔、「忘れぬるなめり」と、問ひごとしける女のもとに、 谷せばみ峰まではへる玉かづら絶えむと人にわが思はなくに  この女性は、ストレートな物言いをする。〈あなたはわたしのことを忘れてしまったように見えるわ。〉と言う。「ぬる・な・めり」は、完了...