古典

古典

第四十一段 ~妻の姉妹~

昔、女はらから二人ありけり。一人はいやしき男のまづしき、一人はあてなる男もたりけり。いやしき男もたる、十二月のつごもりに、うへのきぬを洗ひて、手づから張りけり。心ざしはいたしけれど、さるいやしきわざも習はざりければ、うへのきぬの肩を張り破り...
古典

第四十段 ~若者と大人~

昔、若き男、けしうはあらぬ女を思ひけり。さかしらする親ありて、思ひもぞつくとて、この女をほかへ追ひやらむとす。さこそいへ、まだ追ひやらず。人の子なれば、まだ心いきほひなかりければ、とどむるいきほひなし。女もいやしければ、すまふ力なし。さる間...
古典

第三十九段 ~葬儀の恋~

昔、西院の帝と申すみかどおはしましけり。そのみかどのみこ、たかい子と申すいまそがりけり。そのみこうせたまひて、御はぶりの夜、その宮の隣なりける男、御はぶり見むとて、女車にあひ乗りていでたりけり。 いと久しう率(ゐ)ていでたてまつらず。うち泣...