古典

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第七十九段 ~一族の繁栄への期待~

昔、氏のなかに親王生れたまへりけり。御産屋に、人人歌よみけり。御祖父(おほんおほぢ)がたなりけるおきなのよめる、 わが門に千ひろあるかげ植ゑつれば夏冬たれかかくれざるべきこれは貞数の親王、時の人、中将の子となむいひける。兄の中納言行平のむす...
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第七十八段 ~恋と権力~

昔、多賀幾子と申す女御おはしましけり。うせたまひて、七七日のみわざ、安祥寺にてしけり。右大将藤原の常行といふ人いまそがりけり。そのみわざにまうでたまひて、かへさに、山科の禅師の親王おはします、その山科の宮に、滝落し、水走らせなどして、おもろ...
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第七十七段 ~人生の黄昏~

昔、田邑(たむら)の帝と申すみかどおはしましけり。その時の女御、多賀幾子と申す、みまそがりけり。それうせたまひて、安祥寺にてみわざしけり。人々ささげ物奉りけり。奉り集めたる物、千ささげばかりあり。そこばくのささげ物を木の枝につけて、堂の前に...