古典

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《春の物憂さ》

やよひにうくひすのこゑのひさしうきこえさりけるをよめる  つらゆき なきとむるはなしなけれはうくひすもはてはものうくなりぬへらなり  (128) 鳴き止むる花し無ければ鶯も果ては物憂くなりぬべらなり 「三月に鶯の声が久しく聞こえなかったのを...
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第百十五段  ぼろぼろの潔さ

宿河原といふところにて、ぼろぼろ多く集まりて、九品の念仏を申しけるに、外より入り来るぼろぼろの、「もしこの御中に、いろをし房と申すぼろやおはします」と尋ねければ、その中より、「いろをし、ここに候。かくのたまふは、誰そ」と答ふれば、「しら梵字...
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《表現の多様性》

はるのとくすくるをよめる みつね あつさゆみはるたちしよりとしつきのいるかことくもおもほゆるかな  (127) 梓弓春立ちしより年月の射るがごとくも思ほゆるかな 「春が早く過ぎるのを詠んだ  凡河内躬恒 春が立った日から月日が弓を射るように...