古典

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第百五十九段  貝の名へのこだわり

「みなむすびといふは、糸を結びかさねたるが、蜷(みな)といふ貝に似たればといふ」と、あるやんごとなき人仰せられき。「にな」といふは、あやまりなり。 「『蜷結びと言うのは、糸を結び重ねた形が、蜷という貝に似ているのでと言う。』と、ある高貴な方...
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《秋の初風への思い》

題しらす よみ人しらす わかせこかころものすそをふきかへしうらめつらしきあきのはつかせ (171) 我が背子が衣の裾を吹返しうら珍しき秋の初風 「愛しいあなたの衣の裾を吹き返し、衣の裏を見せる。ああ珍しくていいなと思われる。そんな秋の初めの...
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第百五十八段  故事問答

「盃のそこを捨つる事は、いかが心得たる」と、或人の尋ねさせ給ひしに、「凝当(ぎょうとう)と申し侍るは、そこに凝りたるを捨つるにや候ふらん」と申し侍りしかば、「さにはあらず。魚道(ぎょだう)なり。流れを残して、口のつきたる所をすすぐなり」とぞ...