山川 信一

古典

《母の死》

ははかおもひにてよめる 凡河内みつね かみなつきしくれにぬるるもみちははたたわひひとのたもとなりけり (840) 神な月時雨に濡るる紅葉葉はただ侘び人の袂なりけり 「母の喪中に詠んだ 凡河内躬恒 神無月の時雨に濡れる紅葉葉はそのまま嘆きにあ...
古典

《秋の死別》

きのとものりか身まかりにける時よめる たたみね ときしもあれあきやはひとのわかるへきあるをみるたにこひしきものを (839) 時しもあれ秋やは人の別るべきあるを見るだに恋しきものを 「紀友則が亡くなった時に詠んだ 忠岑 他に時はあるのに、秋...
古典

《同士の死》

きのとものりか身まかりにける時よめる つらゆき あすしらぬわかみとおもへとくれぬまのけふはひとこそかなしかりけれ (838) 明日知らぬ我が身と思へど暮れぬ間の今日は人こそ悲しかりけれ 「紀友則が亡くなった時詠んだ 紀貫之 明日を知らない私...