山川 信一

古典

《誠実と不誠実》

題しらす そせいほうし いまこむといひしはかりになかつきのありあけのつきをまちいてつるかな (691) 今来むと言ひしばかりに長月の有明の月を待ち出でつるかな 「題知らず 素性法師 あなたが直ぐ行くよと言ったばかりに、私は九月の有明の月を待...
古典

《恨み節》

題しらす よみ人しらす きみやこむわれやゆかむのいさよひにまきのいたともささすねにけり (690) 君や来む我や行かむのいさよひに眞木の板戸もささず寝にけり 「題知らず 詠み人知らず 君が来るのだろうか、私が行こうかというためらいのために眞...
古典

《恋を繋ぐ》

題しらす よみ人しらす さむしろにころもかたしきこよひもやわれをまつらむうちのはしひめ (又は、うちのたまひめ) (689) さ筵に衣片敷き今宵もや我を待つらむ宇治の橋姫(または、宇治の玉姫) 「題知らず 詠み人知らず 敷物の上で独り寝をし...