山川 信一

古典

《新鮮なたとえ》

題しらす よみ人しらす みやきののもとあらのこはきつゆをおもみかせをまつこときみをこそまて (694) 宮城野の本疎の小萩露を重み風を待つごと君をこそ待て 「題知らず 詠み人知らず 宮城野の根本に葉がまばらな萩が露が重いので風を待つように君...
古典

《待つわ》

題しらす よみ人しらす きみこすはねやへもいらしこむらさきわかもとゆひにしもはおくとも (693) 君来ずは閨へも入らじ濃紫我が元結ひに霜は置くとも 「題知らず 詠み人知らず 君が来ないなら、寝室へも入るまい。濃紫色の私の元結いに霜が置いて...
古典

《恋の駆け引き》

題しらす よみ人しらす つきよよしよよしとひとにつけやらはこてふににたりまたすしもあらす (692) 月夜よし夜よしと人に告げやらばこてふに似たり待たずしもあらず 「題知らず 詠み人知らず 月がよい、夜がよいと人に言ってやるなら、来なさいと...