山川 信一

古典

《慰め合う》

題しらす よみ人しらす かくこひむものとはわれもおもひにきこころのうらそまさしかりける (700) かく恋ひむものとは我も思ひにき心の占ぞ正しかりける 「題知らず 詠み人知らず このように恋するだろうとは私も思っていた。予感は正しかったなあ...
古典

《藤波の人》

題しらす よみ人しらす みよしののおほかはのへのふちなみのなみにおもははわかこひめやは (699) み吉野の大川の辺の藤波の並に思はば我が恋ひめやは 「題知らず 詠み人知らず み吉野の大川の辺りの藤波ではないが、あなたを並に思うなら私が恋す...
古典

《恋の苦しみ》

題しらす ふかやふ こひしとはたかなつけけむことならむしぬとそたたにいふへかりける (698) 恋しとは誰が名付けけむ言ならむ死ぬとぞただに言ふべかりける 「題知らず 深養父 恋しいとは誰が名付けた言葉なのだろう。死ぬと直接言うべきであった...