山川 信一

古典

《人妻への恋》

題しらす よみ人しらす すまのあまのしほやくけふりかせをいたみおもはぬかたにたなひきにけり (708) 須磨の海人の塩焼く煙風を甚み思はぬ方に棚引きにけり 「題知らず 詠み人知らず 須磨の漁師が塩を焼く煙は風が激しいので、予想外の方向に棚引...
古典

《当意即妙》

返し なりひらの朝臣 おほぬさとなにこそたてれなかれてもつひによるせはありてふものを (707) 大幣と名にこそ立てれなかれても遂に寄る瀬はありてふものを 「返し 業平の朝臣 大幣と評判が立っているが、泣かれ流れても終いに寄る瀬はあるという...
古典

《モテる業平》

ある女の、なりひらの朝臣をところさためすありきすとおもひて、よみてつかはしける よみ人しらす おほぬさのひくてあまたになりぬれはおもへとえこそたのまさりけれ (706) 大幣の引く手数多になりぬれば思へどえこそ頼まざりけれ 「ある女が業平の...