山川 信一

古典

《皮肉の匙加減》

題しらす よみ人しらす いてひとはことのみそよきつきくさのうつしこころはいろことにして (711) いで人は言のみぞよき月草のうつし心は色異にして 「題知らず 詠み人知らず 「いやもうあなたは言葉だけがごりっぱ。移り変わる本心は別なもので。...
古典

《郭公に託けた皮肉》

題しらす よみ人しらす たかさとによかれをしてかほとときすたたここにしもねたるこゑする (710) 誰が里に夜離れをしてか郭公ただここにしも寝たる声する 「題知らず 詠み人知らず 誰の里に訪れないで郭公がただここにばかり寝ているような声がす...
古典

《恨み言》

題しらす よみ人しらす たまかつらはふきあまたになりぬれはたえぬこころのうれしけもなし (709) 玉蔓這ふ木数多になりぬれば絶えぬ心の嬉しげもなし 「題知らず 詠み人知らず 蔓が這う木が多くなってしまったので、絶えない心は嬉しがることもな...