山川 信一

古典

《いい思い出に》

題しらす よみ人しらす あかてこそおもはむなかははなれなめそをたにのちのわすれかたみに (717) 飽かでこそ思はむ仲は離れなめそをだに後の忘れ形見に 「題知らず 詠み人知らず 飽きないで思い合っている仲は離れてしまった方がいい。それをせめ...
古典

《別れの言い訳》

題しらす よみ人しらす うつせみのよのひとことのしけけれはわすれぬもののかれぬへらなり(716) 空蝉の世の人言の繁ければ忘れぬものの離れぬべらなり 「題知らず 詠み人知らず 儚い世間の噂が多いから、あなたを忘れないのに離れてしまいそうだ。...
古典

《飽きの訪れ》

寛平御時きさいの宮の歌合のうた とものり せみのこゑきけはかなしななつころもうすくやひとのならむとおもへは (715) 蝉の声聞けば悲しな夏衣薄くや人のならむと思へば 「寛平の御時の后の宮の歌合の歌 友則 蝉の声を聞くと悲しいなあ。夏衣のよ...