古典 第七十三段 ~月の桂のような女~ 昔、そこにはありと聞けど、消息をだにいふべくもあらぬ女のあたりを思ひける、 目には見て手にはとられぬ月のうちの桂のごとき君にぞありける そこにいることは聞いているけれど、手紙で近況をさえ言うことができない女が住むあたりを思って詠んだ、〈目... 2019.08.03 古典
古典 第七十二段 ~その後~ 昔、男、伊勢の国なりける女またえあはで、となりの国へいくとていみじう恨みければ、女、 大淀の松はつらくもあらなくにうらみてのみもかへる浪かな 昔、男が、伊勢国にいた女がまた逢うことができず、隣の国に行くということになり、逢えないことをたい... 2019.08.02 古典
古典 第七十一段 ~別の女~ 昔、男、伊勢の斎宮に、内の御使にてまゐれりければ、かの宮に、すきごといひける女、わたくしごとにて、 ちはやぶる神のいがきもこえぬべし大宮人の見まくほしさに男、 恋しくは来ても見よかしちはやぶる神のいさむる道ならなくに 男が伊勢の斎宮(神殿... 2019.08.01 古典