山川 信一

古典

《再会》

題しらす よみ人しらす かけろふのそれかあらぬかはるさめのふるひとなれはそてそぬれぬる (731) 陽炎のそれかあらぬか春雨のふるひとなれば袖ぞ濡れぬる 「題知らず 詠み人知らず 陽炎が有るのか無いのか。春雨が降る日の古る人なので、袖が濡れ...
古典

《再会への期待》

題しらす よみ人しらす めつらしきひとをみむとやしかもせぬわかしたひものとけわたるらむ (730) 珍しき人を見むとやしかもせぬ我が下紐の解け渡るらむ 「題知らず 詠み人知らず 珍しい人に逢うだろうと、解きもしない私の下紐が解け続けているの...
古典

《失恋の嘆き》

題しらす つらゆき いろもなきこころをひとにそめしよりうつろはむとはおもほえなくに (729) 色も無き心を人にそめしより移ろはむとは思ほえなくに 「題知らず 貫之 色も無い心をあの人色に染め始めてから色が変わろうとは思えないのに。」 「そ...