山川 信一

古典

《思いの丈》

中納音源ののほるの朝臣のあふみのすけに侍りける時、よみてやれりける  閑院 あふさかのゆふつけとりにあらはこそきみかゆききをなくなくもみめ (740) 相坂の木綿付け鶏にあらばこそ君が行き来を泣く泣くも見め 「中納言源昇の朝臣が近江の介でご...
古典

《女の激情》

題しらす よみ人しらす まてといははねてもゆかなむしひてゆくこまのあしをれまへのたなはし (739) 待てと言はば寝ても行かなむ強ひて行く駒の脚折れ前の棚橋 「題知らず 詠み人知らず 待てと言ったら、寝ても行って欲しい。無理に行く馬の脚を折...
古典

《せつない女心》

題しらす よるかの朝臣 たまほこのみちはつねにもまとはなむひとをとふともわれかとおもはむ (738) 玉桙の道は常にも惑はなむ人を訪ふとも我かと思はむ 「題知らず 因香の朝臣 道はいつも間違えてほしい。他の人を訪ねても私かと思うだろう。」 ...