山川 信一

古典

《普遍的行為》

題しらす さかゐのひとさね おほそらはこひしきひとのかたみかはものおもふことになかめらるらむ (743) 大空は恋しき人の形見かは物思ふ毎に眺めらるらむ 「題知らず 酒井人真 大空は恋しい人の形見なのか。どうして物を思う毎に眺められるのだろ...
古典

《取るに足りない存在》

題しらす 寵 やまかつのかきほにはへるあをつつらひとはくれともことつてもなし (742) 山賤の垣穂に生える青葛人はくれども言伝も無し 「題知らず 寵 樵の家の垣の先に生える青葛の蔓を繰るように人は来るけれど、伝言もない。」 「山賤の垣穂に...
古典

《荒れた心》

題しらす  伊勢 ふるさとにあらぬものからわかためにひとのこころのあれてみゆらむ (741) 故里にあらぬものから我がために人の心の荒れて見ゆらむ 「題知らず 伊勢 故里ではないのに、私のためになぜ人の心が荒れて見えているのだろう。」 「(...