山川 信一

古典

《形見の矛盾》

題しらす よみ人しらす かたみこそいまはあたなれこれなくはわするるときもあらましものを (746) 形見こそ今は仇なれこれ無くば忘るる時もあらましものを 「題知らず 詠み人知らず 形見が今は恨みの種である。しかし、これが無かったら、忘れる時...
古典

《つらい気づき》

おやのまもりける人のむすめにいとしのひにあひてものらいひけるあひたに、おやのよふといひけれはいそきかへるとて、もをなむぬきおきていりにける、そののち、もをかへすとてよめる おきかせ あふまてのかたみとてこそととめけめなみたにうかふもくつなり...
古典

《形見の実際》

題しらす 読人しらす あふまてのかたみもわれはなにせむにみてもこころのなくさまなくに (744) 逢ふまでの形見も我は何せむに見ても心の慰まなくに 「題知らず 詠み人知らず 逢うまでの形見も私は何のために。見ても心が慰まないことよ。」 「何...