山川 信一

古典

《後悔》

題しらす 藤原かねすけの朝臣 よそにのみきかましものをおとはかはわたるとなしにみなれそめけむ (749) 余所にのみ聞かましものを音羽川渡るとなしにみなれ初めけむ 「題知らず 藤原兼輔の朝臣 余所にのみ聞ているのだったのに、どうして音羽川を...
古典

《自分を慰める歌》

題しらす 藤原なかひらの朝臣 はなすすきわれこそしたにおもひしかほにいててひとにむすはれにけり (748) 花芒我こそ下に思ひしか穂に出でて人に結ばれにけり 「題知らず 藤原仲平朝臣 花芒を私こそはと内心思っていたが、穂が出て人に結ばれてし...
古典

《失恋を偲ぶ》 古今集 巻十五:恋五

五条のきさいの宮のにしのたいにすみける人にほいにはあらてものいひわたりけるを、む月のとをかあまりになむほかへかくれにける、あり所はききけれとえ物もいはて、又のとしのはるむめの花さかりに月のおもしろかりける夜、こそをこひてかのにしのたいにいき...