山川 信一

古典

《救いの掛詞》

題しらす よみ人しらす うきめのみおひてなかるるうらなれはかりにのみこそあまはよるらめ (755) うきめのみ生ひて流るる浦なれば仮にのみこそ海人は寄るらめ 「題知らず 詠み人知らず 浮き芽ばかり育って流れる浦なので、刈りにだけ海人は寄って...
古典

《女の皮肉》

題しらす よみ人しらす はなかたみめならふひとのあまたあれはわすられぬらむかすならぬみは (754) 花筐目並ぶ人の数多あれば忘られぬらむ数ならぬ身は 「題知らず 詠み人知らず 見比べる人が沢山いるから忘れられてしまっているだろう。取るに足...
古典

《晴の意味》

題しらす きのとものり くももなくなきたるあさのわれなれやいとはれてのみよをはへぬらむ (753) 雲も無く凪ぎたる朝の我なれやいとはれてのみ世をば経へぬらむ。 「題知らず 紀友則 雲も無く凪いでいる朝の私であるか。どうして、嫌われてばかり...