山川 信一

古典

《見えない心》

題しらす よみ人しらす あひみねはこひこそまされみなせかはなににふかめておもひそめけむ (760) 相見ねば恋こそまされ水無瀬川何に深めて思ひそめけむ 「題知らず 詠み人知らず 情を交わさないので恋が勝るけれど、水無川のように表に出せない。...
古典

《儚い生き方》

題しらす よみ人しらす やましろのよとのわかこもかりにたにこぬひとたのむわれそはかなき (759) 山城の淀の若菰かりにだに来ぬ人頼む我ぞ儚き 「題知らず 詠み人知らず 山城の淀の若菰を苅るように仮にさえ来ない人を頼りにする私が頼りない。」...
古典

《恋は織物》

題しらす よみ人しらす すまのあまのしほやきころもをさをあらみまとほにあれやきみかきまさぬ (758) 須磨の海人の塩焼き衣筬を粗み間遠にあれや君が来まさぬ 「題知らず 詠み人知らず 須磨の漁師の塩焼き衣の織り目が粗い。その縦糸と横糸のよう...