山川 信一

古典

《心の秋は飽き》

題しらす よみ人しらす わかそてにまたきしくれのふりぬるはきみかこころにあきやきぬらむ (763) 我が袖に未だき時雨の降りぬるは君が心にあきや来ぬらむ 「題知らず 詠み人知らず 私の袖に早くも時雨の降ってしまったのは、君の心に秋が来ている...
古典

《恋の終わり》

題しらす よみ人しらす たまかつらいまはたゆとやふくかせのおとにもひとのきこえさるらむ (762) 玉鬘今は絶ゆとや吹く風の音にも人の聞こえざるらむ 「題知らず 詠み人知らず 今は絶えるというので、人づてにも人が聞こえて来ないのだろうか。」...
古典

《体の疼き》

題しらす よみ人しらす あかつきのしきのはねかきももはかききみかこぬよはわれそかすかく (761) 暁の鴫の羽掻き百はがき君が来ぬ夜は我ぞ数書く 「題知らず 詠み人知らず 暁の鴫の羽ばたきは数が多い。あなたが来ない夜は私がもっと数を書く。」...