山川 信一

古典

《こじつけ》

題しらす よみ人しらす こふれともあふよのなきはわすれくさゆめちにさへやおひしけるらむ (766) 恋ふれども逢ふ夜の無きは忘草夢路さへや生ひ茂るらむ 「題知らず 詠み人知らず 恋い慕っても逢う夜が無いのは、忘れ草が夢路までも生い茂っている...
古典

《忘れたいほどに》

題しらす よみ人しらす わすれくさたねとらましをあふことのいとかくかたきものとしりせは (765) 忘草種採らましを逢ふ事のいとかく難き物と知りせば 「題知らず 詠み人知らず 忘草は種を取っておくのだったなあ。逢うことがこのように難しいと知...
古典

《忘れたはずの人》

題しらす よみ人しらす やまのゐのあさきこころもおもはぬにかけはかりのみひとのみゆらむ (764) 山の井の浅き心も思はぬに影ばかりのみ人の見ゆらむ 「題知らず 詠み人知らず 山の井戸のように浅い心でも思わないのに、どうして影ばかりだけあの...