山川 信一

古典

《月夜を厭う女心》

題しらす よみ人しらす つきよにはこぬひとまたるかきくもりあめもふらなむわひつつもねむ (775) 月夜には来ぬ人待たる掻き曇り雨も降らなむ侘びつつも寝む 「題知らず 詠み人知らず 月夜には来ない人が待たれる。掻き曇り雨も降ってほしい。つら...
古典

《変わらない習慣》

題しらす よみ人しらす いまはこしとおもふものからわすれつつまたるることのまたもやまぬか (774) 今は来じと思ふものから忘れつつ待たるることのまだも止まぬか 「題知らず 詠み人知らず もう来るまいと思うものの、それを忘れては待たれること...
古典

《予兆》

題しらす よみ人しらす いましはとわひにしものをささかにのころもにかかりわれをたのむる (773) 今しはと侘びにしものを細蟹の衣にかかり我を頼むる 「題知らず 詠み人知らず 今はもうと悲しんでしまったのに、蜘蛛が私の衣に掛かり私をして当て...