山川 信一

古典

《二つの嘆き》

題しらす よみ人しらす ひさしくもなりにけるかなすみのえのまつはくるしきものにそありける (778) 久しくもなりにけるかな住の江のまつは苦しきものにぞありける 「題知らず 詠み人知らず 久しくもなってしまったことだなあ。住の江の松ではない...
古典

《嫌な秋風》

題しらす よみ人しらす こぬひとをまつゆふくれのあきかせはいかにふけはかわひしかるらむ (777) 来ぬ人を待つ夕暮れの秋風はいかに吹けばか侘しかるらむ 「題知らず 詠み人知らず 来ない人を待つ夕暮れの秋風はどんなふうに吹くから、つらく悲し...
古典

《季節を超えて》

題しらす よみ人しらす うゑていにしあきたかるまてみえこねはけさはつかりのねにそなきぬる (776) 植ゑて往にし秋田苅るまで見え来ねば今朝初雁の音にぞなきぬる 「題知らず 詠み人知らず 植えていった秋田を苅るまで逢いに来なかったので、今朝...